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松駒「恋する爆弾娘」
いつもよりパワフルな松駒さんでした。個々のキャラクターがはっきりしていてきっちり立っていると思います。恋をしないために、と行動するのに惚れっぽい彼女が素敵でした。
視点が三人でくるくる変わりますが、ときどき誰の視点だ?とわからないときもあるのが気になりました。これって主人公は誰なんでしょう? 最後の視点で須藤君主人公だと思うのですが出てくるのが三番目なのでちょっと薄い感じ。影が薄いという須藤君のキャラには合ってるのかしら。
恋愛を主軸に置きながらも謎ありアクションありと盛りだくさんなエンターテインメント作品でとても面白かったです。こういうの書きたいです←
突っ込むとすれば、最初の彼女視点の部分は改行欲しかったかな、ぐらいでしょうか。言葉もわざと印象に?残るようなものを選んでいると感じたので、勢いを殺さないよううまく改行したほうが読みやすい、とっかかりやすいように思いました。あとは科学者視点が必要だったのかなーぐらいでしょうか……ちょっとがんばった粗探しでした。
キャラクターが動きまくってて、アニメとかで見ると物凄く楽しそうでした。
クリイプ「初恋クランベリー」
謎のお姉さんってときめきますよね。ちょっと最後が急展開過ぎて物足りなく思いました。
コミティアで購入した長編が良かったので比較したらちょっと見劣りする気がしました。
小学6年生の語彙力で話が展開されるので非常に読みやすかったです。
一人称小説でありがちな「その人物が知り得ない言葉や情報を出してしまう」という
禁じ手を意識して丁寧に話を練っていることが伺えます。
些細な恋話で浮き立つ教室など、「あったあった」と懐かしめる情景が浮かびました。
一方で、弱気で消極的な主人公がお姉さんを蹴り飛ばすという衝撃的な結末が受け入れがたかったです。女性に暴力を振るう人物が生理的に受け付けない私の好みの問題ですが。
ただ、それだけ恋する主人公の想いが強いという象徴ですし、非常に印象的な場面なので読者に衝撃を与える点では効果的といえますね。次作も楽しみにしております。
小学生の男の子の、お姉さんへの恋と謎がミックスされたいい感じのお話しでした。途中と最後の謎と答えがいい味……今度形を変えてこんな感じのやってみたいです←
読後感はあっさりしているのですが、最後蹴り飛ばすのがちょっと受け入れ難かったです。蹴り飛ばした後に後悔→和解があればちょっと違ったのでは、と感じました。
比良連「越境」
作中で奈々子さんがあまり見えてこないので主人公の躊躇や焦りはよく出ているのですが、二人の関係が希薄に見えてしまいます。
どちらかといえば主人公と宮島さんの奇妙な友人関係のほうが魅力的ですね
文学作品の一節を居酒屋の店員にドヤ顔で語るなど、村上春樹の用いる手法だなと読んでいて感じ取れました。ハマる人にはハマる独自の表現を確立していますね。
同棲を決意する動機が弱いかなとも思っちゃいました。うだうだ悩んで何となく着地する主人公の生き様が現実的といえば現実的ですが。私も同じく、この奇妙な友人関係が好きです。次作ではこういうちょっと不思議な距離感の人間関係を活かしたお話が読めることを期待してます!
作風は個人的に好みですし、ストーリーも主人公の日常や恋人、友人とのこれまでの出来事などが丁寧に書かれていて面白かったです。
ただ、恋人がどういう女性なのか全然見えてこない、さらに友人のキャラクターがたち過ぎていたのと主人公の中で大きい存在だったので、テーマの「恋愛」から考えるとちょっとうーん?となりました。
結末が逆だったら納得がいった気がします。
七塚真「水彩の日」
一週間で書かれたとは思えない密度でしたが、恋愛ではなかったです。
表現は多彩ですが、賑やか過ぎて疲れる感じもします。
表現の豊かさは随一です。しかしそれが故、話の流れが頭に入ってきません。
情報量があまりにも多すぎて私の凡庸な頭では処理しきれないのです。
話の本筋に関係する表現とそうでない表現を仕分けて削るともっと素敵になるのにと歯痒いです。
それとこれは、恋愛というより「親子」というテーマで提出されるべき小説ではないでしょうか。
海外の短編映画みたいな感じがしました。こういうの好きです。
この表現で書くならもっと短かかったほうが良かったと思います。
先に述べていますが、テーマが「恋愛」ではなかったと思います。
赤崎翔「炭酸水の微笑」
以前よりすっきりして読みやすくなっていると思います。
今回の流れを簡潔にすると
「少年がどうしても我流錬金術では失敗してしまう炭酸水を錬金術師に頼んで習う(実質代わりに作ってもらう)→幼馴染に届ける」
ですが、同じ題材でも
「少年が幼馴染に届けたくて錬金術師の家を覗き見る→見つかってしまうがなんとか炭酸水を手に入れる→届けた先の幼馴染の笑顔を見て錬金術師を志す」
としたほうが起承転結を感じやすくないですか? 物語の起伏を意識するとよくなると思います。
あと最初遠いかのように書かれている錬金術師の家が段々村に近くなってる?
錬金の過程を描きたかったのだな、と書きたいものが伝わる小説でした。
ただ「恋愛」がお題ではあるので、炭酸水にまつわるエピソードを丁寧に書き込むと少年の強い想いがより説得力を伴って表現できたのではないかなと思います。
あと、個人的に錬金術の師匠のおっさんが好みです。ダメダメな見習いと堅物のおっさんの錬金工房を舞台として、そこに「炭酸水を作って欲しい」という依頼が舞い込み……と物語の起を作ってみると小説として面白くなりそうな気がします。
ただ、以前の小説よりも格段に上手くなっていますので、次作以降の成長がとても楽しみです。
素直なストーリーでするりと読めました。錬金術士がいい味出してたと思います。ロウと炭酸水を作る場面良かったです。
テーマを「恋愛」にするにはちょっと弱い気もしました(友愛ぐらい?)。ロウからトルテへのもう少し強い思いが感じられる描写があったほうが良かったように思います。
あと、これまでの作品よりずっと面白かったです。
好きです。短編なせいか物足りない感があるのが残念でしたが、魔法より科学寄りな錬金術のくだりが好きでした。
水夜ちはる「夏とオタクと原稿用紙」
校正のときに自分で言ってたように尻切れ感がもったいなかったねー
出会いのイベントをもっと薄くしてもよかったかも。でも面白かったです。
正統派ラブコメで、女の子が可愛く、主人公が熱血(でもヘタレ)。
恋愛小説としての条件を問題なく満たしていて、その手腕に舌を巻きました。
「もっと二人をニヤニヤ眺めたい!」「イベントのドタバタっぷりをどう表現するのか!」
と読みたい感情を煽られて、これからってところで終わるのが勿体無いです……。
それだけ魅力的なキャラクターが作れているということなのですが。
参考にして我が物としたいです。
「いい加減休みたい」と仰っていましたが、私はもっと水夜さんの物語を貪欲に楽しみたいです。
ボーイ・ミーツ・ガール オタク編、と名付けたい感じでしたw
オタクのみんなは読んでてニヤニヤするか恥ずかしい気持ちになるかその両方がごちゃまぜになるかという恐ろしい作品。
王道路線なだけに、最後お父さんは「それとこれとは話が別」と、もうちょっと踏ん張って反対すべきだったと思います←
なな「キューピッド・ロボット」
巻き込まれながら夢中になっていく様子がいいですね。短い中に緩急がしっかりあって読みやすかったです。
一人称三人称がちょっとゆらゆらしてましたがそんなに気にならない程度でした。
すんげぇ面白かったです。高野ありさが尋常なく可愛いです。
感情の起伏が激しく研究職特有の奇抜さを持ち合わせていますが、そこがとても好みです。
登場人物が例外なく特徴を持ち合わせていて、魅力的なキャラクターたちが「ロボットを作る」という目標に向かって一丸になるという話の展開にも引き込まれましたし、恋愛というのを直接的には描写しなくても、研究室で過ごした日々そのものに恋や愛情が見え隠れしていて……あー、上手く語れないのがもどかしいです。
読後感もトリを飾ってもおかしくないほど良いです。仕事と並行しながらの執筆とは思えません。
次作のテーマはおそらく「神様」なのですが、そこで綴られる物語が今からとても楽しみです。
夕埼灰嶺「二千年後の君へ」
いつものことなのですが、長編の一部を切り取って短編の長さにしても、それは短編小説ではないので登場人物だけ出して終わってしまってます。恋愛という枠からも外れています。
物語の筋に関係ない設定を出さないほうがいいのかもしれません。前世だとか特別な力を持っているとか人間ではないとか。表現力はあるのに設定が盛り沢山過ぎて書きたいものやストーリーが見えてきません。
そうですね、表現に困るのですが、起承転結を意識されてみてはいかがでしょうか。
正直、このお話を説明しろと問い合わせを受けたら「分からない」の五文字以外浮かびません。
小説っていうのは「××は○○できるか?」っていうセントラルクエスチョンがあってこそ、面白くなるんですよ。変なお姉さんとの恋は実るのか? 同棲に踏み切れることは出来るのか? 炭酸水を幼馴染に届けられるのか? などなど。これをいかに手早く読者に提示して、物語に興味を持ってもらえるかが勝負所なんです。
同人誌といえども読んでいる人を想定して物語を描くことは要求されますので。
厳しいことを並べてすみません。表現力は私よりも十二分にあるからこそ述べています。それを活かし切れていないのはあまりにも勿体無いです。
表現はキレイなので読んでて嫌な感じはしないのですが、話しの筋が見えてこないので雰囲気小説?としてしか読めませんでした。
佐藤遠菜「かたこい」
題材や書き方は面白かったのですが後半のパワーダウンが残念です。
数年募らせてこじらせた想いなら、もっと極端に出現してもよかったなと思います。
片想いという恋愛の定番中の定番をそつなく描写できているのが素敵です。
基本をきっちり書ける=定石を覆す多彩な展開もこなせる、ということなので。
インターネットを介して思いを寄せるというのも身近な題材なので登場人物に感情移入しながら読み進めることが出来ました。距離を置かれていく描写も地に足ついていて、違和感を覚えることがなかったです。
ただ、主人公があっさり身を引き過ぎているかなとも思います。もっと歪んだ狂った拗れた片想いというのも読んでみたかったです。フツーの女の子のフツーの失恋物語、ということで印象に残り辛いのが難点かなぁと思います。定番が綺麗に仕上がっているからこそ、独特な物語も読んでみたいという思いが湧いてきますね。次作を心待ちにしております。
中盤までの、ネットを通じて好きになった人へのアプローチが面白かっただけに、ラストが力尽きた感がありました。会えなかった時間の流れ、再会する場面、その後、はもうちょっと盛り上げても良かったのでは、と思います。
個人的に好きな作家さんへの好意をどこまで表現したらよいのかというのはいつも悩みどころなので一番共感した作品でした。Twitterのとことか読んでてすごく楽しかったです。
イマイマイ「万年青の赤い実」
作品群の中で一際興味をそそられる題名でした。中身もそれに見合ったもので、魅力的な名づけができる感性がとっても羨ましいです。
イマイさんお得意の「百合を匂わせる女性たちと一人の男性、やきもきする登場人物たち」を読めてホクホクしています。三角関係って良いですよね!
委員長が万年青さんに思いを寄せる動機というか、説得力のある場面の描写が若干薄いかなと感じました。難癖をつけているにも等しい私見ですが。
最後、恋に無自覚な主人公が親友との対話を通じて赤い実が弾けるという展開も良いですね。トリを飾るに相応しい読後感でした。次作で書かれるであろうテンション高めの付喪神、すっげぇ楽しみにしてます。
今回の作品の中で一番面白かったです。タイトル読めなかったですけど←
でも「青」の「赤い実」ってだけで意味深なタイトルでイイ。
舞台が図書室で、主人公が図書委員で、新しくできた友人は美人な読書家で、変な図書委員長って、設定だけで美味しかったです。その設定を活かしながらも地に足の着いた感覚で主人公の心情が丁寧に書かれています。
常に腹八分目をキープしていた美味しいお話しでした。
続きか間の話しが読みたいです。
魅力的なキャラクターと青春を感じる作品でした。ストーリーのまとまりが良く安定感があり、短いながらもスッキリした読了感ある素敵な小説でした。
(恥ずかしながら万年青を知らなかったので調べました)
いつもよりパワフルな松駒さんでした。個々のキャラクターがはっきりしていてきっちり立っていると思います。恋をしないために、と行動するのに惚れっぽい彼女が素敵でした。
視点が三人でくるくる変わりますが、ときどき誰の視点だ?とわからないときもあるのが気になりました。これって主人公は誰なんでしょう? 最後の視点で須藤君主人公だと思うのですが出てくるのが三番目なのでちょっと薄い感じ。影が薄いという須藤君のキャラには合ってるのかしら。
恋愛を主軸に置きながらも謎ありアクションありと盛りだくさんなエンターテインメント作品でとても面白かったです。こういうの書きたいです←
突っ込むとすれば、最初の彼女視点の部分は改行欲しかったかな、ぐらいでしょうか。言葉もわざと印象に?残るようなものを選んでいると感じたので、勢いを殺さないよううまく改行したほうが読みやすい、とっかかりやすいように思いました。あとは科学者視点が必要だったのかなーぐらいでしょうか……ちょっとがんばった粗探しでした。
キャラクターが動きまくってて、アニメとかで見ると物凄く楽しそうでした。
クリイプ「初恋クランベリー」
謎のお姉さんってときめきますよね。ちょっと最後が急展開過ぎて物足りなく思いました。
コミティアで購入した長編が良かったので比較したらちょっと見劣りする気がしました。
小学6年生の語彙力で話が展開されるので非常に読みやすかったです。
一人称小説でありがちな「その人物が知り得ない言葉や情報を出してしまう」という
禁じ手を意識して丁寧に話を練っていることが伺えます。
些細な恋話で浮き立つ教室など、「あったあった」と懐かしめる情景が浮かびました。
一方で、弱気で消極的な主人公がお姉さんを蹴り飛ばすという衝撃的な結末が受け入れがたかったです。女性に暴力を振るう人物が生理的に受け付けない私の好みの問題ですが。
ただ、それだけ恋する主人公の想いが強いという象徴ですし、非常に印象的な場面なので読者に衝撃を与える点では効果的といえますね。次作も楽しみにしております。
小学生の男の子の、お姉さんへの恋と謎がミックスされたいい感じのお話しでした。途中と最後の謎と答えがいい味……今度形を変えてこんな感じのやってみたいです←
読後感はあっさりしているのですが、最後蹴り飛ばすのがちょっと受け入れ難かったです。蹴り飛ばした後に後悔→和解があればちょっと違ったのでは、と感じました。
比良連「越境」
作中で奈々子さんがあまり見えてこないので主人公の躊躇や焦りはよく出ているのですが、二人の関係が希薄に見えてしまいます。
どちらかといえば主人公と宮島さんの奇妙な友人関係のほうが魅力的ですね
文学作品の一節を居酒屋の店員にドヤ顔で語るなど、村上春樹の用いる手法だなと読んでいて感じ取れました。ハマる人にはハマる独自の表現を確立していますね。
同棲を決意する動機が弱いかなとも思っちゃいました。うだうだ悩んで何となく着地する主人公の生き様が現実的といえば現実的ですが。私も同じく、この奇妙な友人関係が好きです。次作ではこういうちょっと不思議な距離感の人間関係を活かしたお話が読めることを期待してます!
作風は個人的に好みですし、ストーリーも主人公の日常や恋人、友人とのこれまでの出来事などが丁寧に書かれていて面白かったです。
ただ、恋人がどういう女性なのか全然見えてこない、さらに友人のキャラクターがたち過ぎていたのと主人公の中で大きい存在だったので、テーマの「恋愛」から考えるとちょっとうーん?となりました。
結末が逆だったら納得がいった気がします。
七塚真「水彩の日」
一週間で書かれたとは思えない密度でしたが、恋愛ではなかったです。
表現は多彩ですが、賑やか過ぎて疲れる感じもします。
表現の豊かさは随一です。しかしそれが故、話の流れが頭に入ってきません。
情報量があまりにも多すぎて私の凡庸な頭では処理しきれないのです。
話の本筋に関係する表現とそうでない表現を仕分けて削るともっと素敵になるのにと歯痒いです。
それとこれは、恋愛というより「親子」というテーマで提出されるべき小説ではないでしょうか。
海外の短編映画みたいな感じがしました。こういうの好きです。
この表現で書くならもっと短かかったほうが良かったと思います。
先に述べていますが、テーマが「恋愛」ではなかったと思います。
赤崎翔「炭酸水の微笑」
以前よりすっきりして読みやすくなっていると思います。
今回の流れを簡潔にすると
「少年がどうしても我流錬金術では失敗してしまう炭酸水を錬金術師に頼んで習う(実質代わりに作ってもらう)→幼馴染に届ける」
ですが、同じ題材でも
「少年が幼馴染に届けたくて錬金術師の家を覗き見る→見つかってしまうがなんとか炭酸水を手に入れる→届けた先の幼馴染の笑顔を見て錬金術師を志す」
としたほうが起承転結を感じやすくないですか? 物語の起伏を意識するとよくなると思います。
あと最初遠いかのように書かれている錬金術師の家が段々村に近くなってる?
錬金の過程を描きたかったのだな、と書きたいものが伝わる小説でした。
ただ「恋愛」がお題ではあるので、炭酸水にまつわるエピソードを丁寧に書き込むと少年の強い想いがより説得力を伴って表現できたのではないかなと思います。
あと、個人的に錬金術の師匠のおっさんが好みです。ダメダメな見習いと堅物のおっさんの錬金工房を舞台として、そこに「炭酸水を作って欲しい」という依頼が舞い込み……と物語の起を作ってみると小説として面白くなりそうな気がします。
ただ、以前の小説よりも格段に上手くなっていますので、次作以降の成長がとても楽しみです。
素直なストーリーでするりと読めました。錬金術士がいい味出してたと思います。ロウと炭酸水を作る場面良かったです。
テーマを「恋愛」にするにはちょっと弱い気もしました(友愛ぐらい?)。ロウからトルテへのもう少し強い思いが感じられる描写があったほうが良かったように思います。
あと、これまでの作品よりずっと面白かったです。
好きです。短編なせいか物足りない感があるのが残念でしたが、魔法より科学寄りな錬金術のくだりが好きでした。
水夜ちはる「夏とオタクと原稿用紙」
校正のときに自分で言ってたように尻切れ感がもったいなかったねー
出会いのイベントをもっと薄くしてもよかったかも。でも面白かったです。
正統派ラブコメで、女の子が可愛く、主人公が熱血(でもヘタレ)。
恋愛小説としての条件を問題なく満たしていて、その手腕に舌を巻きました。
「もっと二人をニヤニヤ眺めたい!」「イベントのドタバタっぷりをどう表現するのか!」
と読みたい感情を煽られて、これからってところで終わるのが勿体無いです……。
それだけ魅力的なキャラクターが作れているということなのですが。
参考にして我が物としたいです。
「いい加減休みたい」と仰っていましたが、私はもっと水夜さんの物語を貪欲に楽しみたいです。
ボーイ・ミーツ・ガール オタク編、と名付けたい感じでしたw
オタクのみんなは読んでてニヤニヤするか恥ずかしい気持ちになるかその両方がごちゃまぜになるかという恐ろしい作品。
王道路線なだけに、最後お父さんは「それとこれとは話が別」と、もうちょっと踏ん張って反対すべきだったと思います←
なな「キューピッド・ロボット」
巻き込まれながら夢中になっていく様子がいいですね。短い中に緩急がしっかりあって読みやすかったです。
一人称三人称がちょっとゆらゆらしてましたがそんなに気にならない程度でした。
すんげぇ面白かったです。高野ありさが尋常なく可愛いです。
感情の起伏が激しく研究職特有の奇抜さを持ち合わせていますが、そこがとても好みです。
登場人物が例外なく特徴を持ち合わせていて、魅力的なキャラクターたちが「ロボットを作る」という目標に向かって一丸になるという話の展開にも引き込まれましたし、恋愛というのを直接的には描写しなくても、研究室で過ごした日々そのものに恋や愛情が見え隠れしていて……あー、上手く語れないのがもどかしいです。
読後感もトリを飾ってもおかしくないほど良いです。仕事と並行しながらの執筆とは思えません。
次作のテーマはおそらく「神様」なのですが、そこで綴られる物語が今からとても楽しみです。
夕埼灰嶺「二千年後の君へ」
いつものことなのですが、長編の一部を切り取って短編の長さにしても、それは短編小説ではないので登場人物だけ出して終わってしまってます。恋愛という枠からも外れています。
物語の筋に関係ない設定を出さないほうがいいのかもしれません。前世だとか特別な力を持っているとか人間ではないとか。表現力はあるのに設定が盛り沢山過ぎて書きたいものやストーリーが見えてきません。
そうですね、表現に困るのですが、起承転結を意識されてみてはいかがでしょうか。
正直、このお話を説明しろと問い合わせを受けたら「分からない」の五文字以外浮かびません。
小説っていうのは「××は○○できるか?」っていうセントラルクエスチョンがあってこそ、面白くなるんですよ。変なお姉さんとの恋は実るのか? 同棲に踏み切れることは出来るのか? 炭酸水を幼馴染に届けられるのか? などなど。これをいかに手早く読者に提示して、物語に興味を持ってもらえるかが勝負所なんです。
同人誌といえども読んでいる人を想定して物語を描くことは要求されますので。
厳しいことを並べてすみません。表現力は私よりも十二分にあるからこそ述べています。それを活かし切れていないのはあまりにも勿体無いです。
表現はキレイなので読んでて嫌な感じはしないのですが、話しの筋が見えてこないので雰囲気小説?としてしか読めませんでした。
佐藤遠菜「かたこい」
題材や書き方は面白かったのですが後半のパワーダウンが残念です。
数年募らせてこじらせた想いなら、もっと極端に出現してもよかったなと思います。
片想いという恋愛の定番中の定番をそつなく描写できているのが素敵です。
基本をきっちり書ける=定石を覆す多彩な展開もこなせる、ということなので。
インターネットを介して思いを寄せるというのも身近な題材なので登場人物に感情移入しながら読み進めることが出来ました。距離を置かれていく描写も地に足ついていて、違和感を覚えることがなかったです。
ただ、主人公があっさり身を引き過ぎているかなとも思います。もっと歪んだ狂った拗れた片想いというのも読んでみたかったです。フツーの女の子のフツーの失恋物語、ということで印象に残り辛いのが難点かなぁと思います。定番が綺麗に仕上がっているからこそ、独特な物語も読んでみたいという思いが湧いてきますね。次作を心待ちにしております。
中盤までの、ネットを通じて好きになった人へのアプローチが面白かっただけに、ラストが力尽きた感がありました。会えなかった時間の流れ、再会する場面、その後、はもうちょっと盛り上げても良かったのでは、と思います。
個人的に好きな作家さんへの好意をどこまで表現したらよいのかというのはいつも悩みどころなので一番共感した作品でした。Twitterのとことか読んでてすごく楽しかったです。
イマイマイ「万年青の赤い実」
作品群の中で一際興味をそそられる題名でした。中身もそれに見合ったもので、魅力的な名づけができる感性がとっても羨ましいです。
イマイさんお得意の「百合を匂わせる女性たちと一人の男性、やきもきする登場人物たち」を読めてホクホクしています。三角関係って良いですよね!
委員長が万年青さんに思いを寄せる動機というか、説得力のある場面の描写が若干薄いかなと感じました。難癖をつけているにも等しい私見ですが。
最後、恋に無自覚な主人公が親友との対話を通じて赤い実が弾けるという展開も良いですね。トリを飾るに相応しい読後感でした。次作で書かれるであろうテンション高めの付喪神、すっげぇ楽しみにしてます。
今回の作品の中で一番面白かったです。タイトル読めなかったですけど←
でも「青」の「赤い実」ってだけで意味深なタイトルでイイ。
舞台が図書室で、主人公が図書委員で、新しくできた友人は美人な読書家で、変な図書委員長って、設定だけで美味しかったです。その設定を活かしながらも地に足の着いた感覚で主人公の心情が丁寧に書かれています。
常に腹八分目をキープしていた美味しいお話しでした。
続きか間の話しが読みたいです。
魅力的なキャラクターと青春を感じる作品でした。ストーリーのまとまりが良く安定感があり、短いながらもスッキリした読了感ある素敵な小説でした。
(恥ずかしながら万年青を知らなかったので調べました)
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